第32話   雷とPCと釣   平成16年11月14日  

116日の夕刻6時半頃から、突如庄内地方全域を雷が襲った。その雷は結構激しく一時間ほど続いた。そしてその雷は自宅から北東側約3キロの住宅地域の送電線等他に落雷したらしい。その結果新橋地区、上安町が広く停電したと云う事を次の朝聞かされた。

庄内での雷の発生、落雷はそんなに珍しいことではない。大気が不安定になる梅雨の終焉の頃に起きる雷よりも、冬の日本海に発生する水蒸気の為に頻発して起きる雷の方が多い。ここ庄内での雷の発生率は特に高く、全国でもトップクラスにあるようだ。だから何時もの事で、雷などには特に注意を払ったことはない。頭の上で雷が盛んになっていても、平気でPCを弄っている事もしばしばである。

その夜雷が止んだ8時を回った頃にHPの更新をしようと思い、インターネットエクスプローラをクリックしたが何度やってもネットに繋がらない。ろくに調べもせず以前ルーターの設定が、何らかの原因で壊れた事があったのでリセットをして初めから設定をやり直した。しかし幾度設定をやり直してもその日は繋がらなかった。

こんな時は自分の年代の者は、機械音痴なので非常に困る。パソコンの知識など殆んど分からないので、何をどうしてやったら良いのかが分からないのだ。仕方なくPCに詳しい若い友に電話を入れて翌日着て貰った。どうやらスプリッターかモデムが原因のようだった。NTTに電話を入れて翌朝来て貰う事にした。次の日の朝NTTの職員さんが代わりのモデムを持って来た。やはりモデムが原因であつた。それまで電話線に入っていた妙なパルスも消えた。それにADSLの明りが点灯している。これで繋がりますと云われたが、それでもネットが繋がらない。よく見るとLANの明りが点灯していないようだ。NTTの職員は、自分のPCに直付けしネットが繋がった事で終了である。そしてここが終わったら又別な場所にモデムを届けると云う。昨日の雷のせいで市内のモデムがかなりイカレタと云う。

夜になって、又友に来てもらいモデムに直付けして取り敢えずは、ネットを見れる状態にしてもらった。その夜HPの更新をした。

釣の手ほどきならいくらでも出来るが、ことPCに関しては困ったことにまったくの音痴である。セットしたものを使う事が精一杯で、設定などと云うところまでは手が届かない。何かが原因でエラーが出たり、フリーズしたりするとオドオドするばかりで何も出来ないのが現状である。

雷で思い出した釣があった。梅雨の末期は小型低気圧の発生に伴う雷が頻繁に起こる事がある。ある年の7月の中頃の事だったが、その日も雨模様で大気の状態が妙に気になる日であった。北防波堤の先端の一段低い場所で尺物が釣れると云うので会社を少し早めに上がってバイクを飛ばした。現地に着くとどうも雲行きが怪しい。しかし、釣で頭が一杯になっている私は迷うことなく一段下のトーフ石に釣具を持って飛び降りた。持参したオキアミのブロック細かくして小量づつ川上に投入する。

この場所は先端の沖に沈みテトラが入っており、中型の黒鯛の格好の隠れ場所となっている。しかし、時化れば大型も来ると云う場所でもあった。真ん中は二ヒロばかりであるが、右側の沖手は三ヒロくらいである。竿はカーボンの三間半ヘラ竿改造の中通しである。それに錘を極小にし、オキアミをつけてポイントに放り込む。6時を回った頃に最初の一枚が釣れた。丁度その頃北西側の遠くで雷が光った。尺物が釣れた事で張り切っている。まだ大丈夫と判断して、餌をつけて竿をおろした。沖のところどころに雷雲が発生して数箇所に稲妻が見える。その内に突風が吹き、雨が降って来た。

その雨をやり過ごし風がやんだ処で、又竿を出した。黒鯛の当たりはまだある。二枚目が上がる。その時釣座の真ん前数百メートル離れた南堤防の付近に低い雷雲がかかった。また、雨と突風である。その時急に稲妻が光った。「ヤバイ!!」竿を横に放り投げた。穂先が光ったように感じた。手にもピリピリと感じた気がする。先端から一段下に居た事が幸いしたのかも知れぬ。横のテトラに隠れ雷雲が通り過ぎるのを待って、竿を回収した。若気の至りと云うか、怖さを知らない自分であった。

命があれば釣りはいつでも出来るもの。死んでしまっては、釣りは出来ない。その後この教訓を胸に無理な釣りは決してしないと云う事にしている。かつて身体を壊して、釣をしたいが為に好きなタバコを止めて快復した友がいる。それ以後無理な釣行はしないが、タバコは止められぬ自分がいる。自分は果たして釣の為にタバコを止められるであろうか?と思いつつ釣をしている。